fMRI解析の基礎 (13):エンコーディング

最終更新日: 2020年7月20日

エンコーディングとは?
\to 刺激に関する知識を用いて特定のROIのBOLD反応を予測すること1

BOLDEncodingStimulus\text{BOLD} \mathrel{\overset{Encoding}{\longleftarrow}} \text{Stimulus}

エンコーディングには次のような特徴があります。

  • 特定の属性に敏感な領域を特定できる
  • 認知過程・神経活動の仮説を検証できる。
  • Computational Neuroscience, model-based fMRI
BOLDCognitionStimulus\text{BOLD} \mathrel{\overset{Cognition}{\longleftarrow}} \text{Stimulus}

1. ボクセルベースのエンコーディング

基本的なモデルは、線形エンコーディングモデルです

線形エンコーディングモデル:刺激をいくつかのチャンネルに分け、それぞれフィルターをかけて表現を得て、それらを線形結合することでBOLD信号が生成する。パラメータ推定はGLMと同様に行える。

BOLDLinearRepresentFilterStimulus\text{BOLD} \mathrel{\overset{Linear}{\longleftarrow}} \text{Represent} \mathrel{\overset{Filter}{\longleftarrow}} \text{Stimulus}

例)

yk(Si)=j=1Ncwjklog[Fj(Si)+1]+w0+εiy_k(S_i)=\sum_{j=1}^{N_c}w_{jk}\log[F_j(S_i)+1]+w_0+\varepsilon_i
yk(Si)=j=1Ncwjkϕj(Si)+w0+εiy_k(S_i)=\sum_{j=1}^{N_c}w_{jk} \phi_j(S_i) +w_0+\varepsilon_i

Encoding Model は、チャンネルの応答という仮定を利用して、刺激に選択的な脳領域を同定するのにも使えます。また、認知システムの階層構造や成り立ちを推測できます。

2. デコーディングへの反転

デコーディングモデルには次のような利点があるため、デコーディングモデルに変換して考察することも度々行われています

  • パフォーマンスを直接比較できる。
  • マインドリーディングという観点でみれる。

f(Xtrain)f(X_{train})f(Xtest)f(X_{test})重みが共通と仮定して、XtestX_{test} を推定することができます。ただし、行列の反転は、仮定したノイズに影響されるので気を付ける必要があります。

X^test=f1(Ytest)\hat{X}_{test} = f^{-1}(Y_{test})

3. モデルベースのエンコーディング

fMRIデータに対する、行動データの計算論モデルの有効性を検証します

例)

次のような手順で、行動データとfMRIデータの対応付けをします。

  1. 行動データに計算論モデルをフィッティング。
  2. モデルのパラメータをいくつか選択し、fMRIデータに回帰させる。
  3. 回帰係数から、行動に有意に相関している脳領域を同定する。

4. 計算論的認知神経科学

行動データ無しで、認知モデリングを行います。つまり、人工的な神経回路網をモデル化します

神経回路のパラメータは、fMRIデータからは推定できません。しかし、経験的なパラメータを用いることで神経回路モデルを設計し、それによりBOLD反応を生成することで、相関法などから妥当性を検証できます。


Reference

  • Ashby, F. G. (2019). Statistical analysis of fMRI data. MIT press. url
  • Naselaris, T., Prenger, R. J., Kay, K. N., Oliver, M., & Gallant, J. L. (2009). Bayesian reconstruction of natural images from human brain activity. Neuron, 63(6), 902-915. url
  • Güçlü, U., & van Gerven, M. A. (2015). Deep neural networks reveal a gradient in the complexity of neural representations across the ventral stream. Journal of Neuroscience, 35(27), 10005-10014. url
  • O'Doherty, J., Dayan, P., Schultz, J., Deichmann, R., Friston, K., & Dolan, R. J. (2004). Dissociable roles of ventral and dorsal striatum in instrumental conditioning. science, 304(5669), 452-454. url

  1. デコーディングの逆になる。